大腸の疾患
大腸の疾患
細菌・ウイルス・寄生虫などの病原体が大腸に感染し、炎症を引き起こす疾患です。食中毒と病態が重なる場合も多く、夏季や海外旅行後に多くみられます。健康な方であれば自然に回復することがほとんどですが、小さなお子さんや高齢の方、免疫力が低下している方は重症化しやすいため注意が必要です。
主な症状
原因
診断
便の検査で原因を調べ、必要に応じて血液検査も行います。炎症の程度や脱水の有無を確認します。
治療法
十分な水分・電解質の補給と安静が基本です。細菌性腸炎を疑う場合は抗菌薬を使用することがありますが、ウイルス性腸炎の多くは対症療法が中心となります。適切な治療を受ければ数日〜1週間程度で改善が期待できますが、症状が強い場合や血便が続く場合は早めに受診してください。
大腸への血流が一時的に低下・途絶することで腸粘膜が傷つき、炎症や潰瘍が生じる疾患です。50〜60代以上の女性に多くみられ、突然の腹痛と血便が特徴的です。多くは一過性で自然に回復しますが、重症化すると腸が壊死することもあるため、早期の診断と適切な対応が求められます。
主な症状
原因
診断
血液検査やCT検査で炎症の程度を評価します。最終的には大腸カメラで粘膜の発赤・浮腫・びらん・潰瘍の分布から診断します。
治療法
治療は安静を基本とし、必要に応じて絶食や点滴を行います。重症の場合は入院治療や手術が必要になることもあります。
大腸カメラ検査や血液検査などで炎症・腫瘍などの器質的な異常が見つからないにもかかわらず、腹部症状が慢性的に繰り返される機能性疾患です。日本人の約10〜15%に認められるとされており、決して珍しくない病気です。ストレスや生活習慣との関連が深く、仕事や学業など日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
主な症状
上記の症状が数か月にわたり持続します。
原因
診断
大腸カメラ検査や血液検査、便検査などを行い、ほかの病気がないことを確認したうえで、症状の変化や病悩期間をもとに診断します。
治療法
食事内容の見直し(食物繊維・水分の摂取、脂肪や刺激物控えめ)や規則正しい生活習慣の改善を中心に進めます。症状に応じて整腸薬・下剤・止痢薬・腸管機能調節薬・抗不安薬などを使用します。心理療法(認知行動療法など)が有効なケースもあります。
大腸の粘膜の一部が盛り上がって腸管内に突出した状態を「ポリープ」といいます。良性ポリープのなかでも“腺腫”性ポリープは放置すると一部が大腸がんに進展する可能性があるとされており、内視鏡による切除が必要です。また早期発見・早期切除が大腸がん予防につながるため、定期的な大腸カメラ検査が重要です。
主な症状
原因
診断
大腸カメラ検査でポリープの有無を確認します。便潜血検査で陽性となった場合も、詳しい検査が必要です。
治療法
小さなポリープであれば、大腸カメラ検査の際にそのまま切除できることがあります。切除した組織は詳しく調べ、切除後も定期的な検査を行います。
大腸の壁の筋層が弱い部分が、腸管内の圧力によって袋状に外側へ突出した状態を「憩室」といい、これが複数存在する状態を大腸憩室症といいます。食生活の欧米化・食物繊維摂取不足・加齢に伴い増加する傾向があり、50歳以上では比較的よくみられる疾患です。
主な症状
原因
診断
大腸カメラ検査やCT検査で憩室の数・部位・炎症や出血の有無を確認します。出血が疑われる場合は、緊急大腸カメラ検査が必要になることもあります。
治療法
無症状であれば食事指導(食物繊維の十分な摂取・水分補給)と定期的な経過観察が基本です。憩室炎には抗菌薬による保存的治療が行われ、出血例では内視鏡的止血術が試みられます。重篤な場合や繰り返す場合は外科手術が選択されることもあります。
どちらも「炎症性腸疾患(IBD)」と総称される、腸管に慢性的な炎症が生じる疾患です。潰瘍性大腸炎は主に大腸の粘膜に連続した炎症・潰瘍が生じる疾患で、クローン病は口から肛門まであらゆる消化管のどこにでも炎症が起こりうる疾患です。いずれも国の指定難病に該当し、症状が落ち着く「寛解期」と悪化する「再燃期」を繰り返す経過をたどります。若い世代に多く発症するため、長期的な管理が重要となります。
主な症状
原因
診断
大腸カメラ検査・生検(組織を採取して顕微鏡で調べる検査)・CT検査・血液検査・便培養検査などを組み合わせて総合的に診断します。小腸の評価にはカプセル内視鏡や小腸内視鏡が用いられることもあります。
治療法
炎症を抑える薬を使って症状を落ち着かせ、再発を防ぎます。長く治療が必要になることもあるため、自己判断で薬をやめず、定期的に通院することが大切です。
大腸(結腸・直腸)に発生する悪性腫瘍です。日本人のがん罹患数・死亡数の上位に位置しており、特に近年は食生活の欧米化などを背景に増加傾向とされています。一方で、早期に発見・治療できれば根治が期待できるがんであり、定期的な検診による早期発見が非常に重要です。
主な症状
原因
診断
便潜血検査は広く実施されている一次スクリーニングです。陽性の場合は大腸カメラ検査を行い、大腸粘膜を直接確認し、がんを疑う変化があれば生検(組織を採取して顕微鏡で調べる検査)して確認します。がんが確認された場合はCT検査などでリンパ節や他臓器への転移の有無を評価します。
治療法
がんの進行度(ステージ)に応じた治療が行われます。粘膜内にとどまる早期がんでは内視鏡的切除が可能なことがあります。進行がんでは外科手術が基本となり、必要に応じて抗がん剤(化学療法)・放射線療法を組み合わせた集学的治療が行われます。
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